名義保険とは、契約者の名義は妻であっても、保険料の負担者が契約者である妻ではなく、他の者が負担している保険を、例えば、夫が保険料を負担している保険を「名義保険」といいます。名義保険は、課税当局が贈与税の課税ができるため、目を光らせております。
なぜなら、満期保険金を保険契約者が受け取りますと、その保険金額は、実質的に保険料を負担した夫から妻への贈与により取得したものとみなされます。
例えば、1000万円の養老保険に妻が契約者とし、その保険料負担者が夫で、保険料を累計で800万円を負担していた場合の贈与税額は、{1000万円―110万円(基礎控除)}×40%―125万円=231万円となります。
妻の保険金手取額は、1000万円―231万円=769万円ですので、保険に加入しないで夫が単純に妻に保険料相当額を毎月贈与していた方がよかったといえます。そのため、贈与税がかからない対策をとる必要がありましょう。
そこで、名義保険である場合には、保険料を負担する者を保険契約者(満期保険金受取人)に変更し、保険契約者と保険料負担者を一致させることが大事です。具体的には、保険料の引き落とし口座は、妻の独自口座(妻名義の生活費口座ではない口座)から引き落とし、保険料相当額を夫の口座から振り替えていくことで、満期保険金の贈与税課税を回避することができます。
なお、夫から妻への保険料の送金は贈与となるため、年間110万円を超えている場合には贈与税の申告が必要です。
ところで、名義保険の引き落とし口座を、贈与税の課税を回避するため、保険契約の途中で変更した場合には、満期保険金を保険料の負担額を保険契約者が負担した保険料と他の者が負担した額で按分し、保険契約者の負担部分は一時所得の計算とし、他の者の部分は贈与税の対象となります。