(吉野 画伯提供)
相続における生命保険金の受取人
姉が死亡したことにより、生命保険金の受取人が相続人と指定されていることが判明しました。相続人は、兄弟の2人ですが、弟は相続放棄をしています。そこで、生命保険会社から、兄である私がすべて保険金を受け取った場合には、相続税の取り扱いはどのようになりますか。
回答:被相続人の死亡により取得する保険金は、その保険金の受取人が被相続人の相続人であるときは相続により、相続人以外の者であるときは遺贈により取得したものとみなされて相続税が課税されます。
保険契約上の保険金受取人とは、その保険契約に係る保険約款等に基づいて保険事故の発生により保険金を有する者をいいます。すなわち、保険契約書に書かれている保険金受取人をいいます。
保険金受取人が相続人と指定されている場合には、相続人のうち相続放棄している相続人であっても、保険契約上の保険金受取人は相続放棄をしている相続人も保険金受取人となるため、保険金が支払われることになります。しかし、相続人が相続放棄をしているため、その生命保険の受取を辞退している場合には、最終的には保険金は他の保険金受取人に支払われることになります。
相続税基本通達3-12では、「保険契約上の保険金受取人以外の者が、現実に保険金を取得している場合で、保険金受取人の変更手続きがなされていなかったことについて、やむを得ない事情があると認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得するについて相当な理由があると認められるときは、その者が保険金受取人として取り扱われる」とされています。
すなわち、生命保険金の受領辞退に伴い、他の相続人がやむなく生命保険金を受領することになるため、相続により取得したこととされるものと考えられます。
なお、相続放棄をした相続人が生命保険金を受領した場合には、相続税法12条の生命保険金の非課税規定(相続人1人あたり500万円控除)の適用が有りませんし、その生命保険金を受領した上で、他の相続人に保険金を渡した場合には贈与となり贈与税が課税されます。