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KASUYAの税ブログ

相続税・贈与税

相続の開始と相続開始を知った日に関する民法と相続税法について

A.民法の規定 ① 相続の開始 相続は死亡によって開始するとされています(民882)。この条項は、相続の効力が発生する基準点を定めたものです。下記の条文は、相続の開始ということを基準として、それぞれの条文の内容に従うものであります。 ② 相続の開始の場所 相続は、被相続人の住所において開始する(民883)。 ③ 相続に関する胎児の権利能力 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす(民886)。 ④ 子及びその代襲者等の相続権、直系尊属及び兄弟姉妹の相続権億、配偶者の相続権 民887、889、890、951。民法951 相続人の存在が明らかでないときは、相続財産は法人とする。 ⑤ 相続の一般的効力 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない(民896)。 ⑥ 法定相続分(民900) ⑦ 遺留分の帰属及びその割合(民1042) ⑧ 特別受益者の相続分(民903、904) ⑨ 遺留分を算定するための財産の価額(民1043、1044、1045) ⑩ 遺産分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止(民908) ⑪ 相続債権者または受遺者の請求による財産分離(民941)   2.「相続の開始を知った時から等」 下記の条文は、相続の開始等を「知った時」から法律効果を発生する基準として、「相続の開始」ではなく、「知った時」を効力発生基準点としている。 ① 相続回復請求権(民884) ② 相続の承認または放棄(民915、916、917) ③ 遺留分侵害額請求権の期間の制限(民1048)   B.相続税法の規定 1. 相続の開始 下記の条文は、相続ないし相続の開始を法律効果の基準点として、それぞれ、条文の効力が発揮するものの例示です。 ① 相続税の納税義務者(法1の3) ② 相続財産の範囲(法2) ③ 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合(法3) ④ 相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税の額(法19)   2.相続の開始を「知った日」 下記の条文は、相続の開始を知った日を法律効果の基準点として、その翌日から条文の効力が発揮するもののです。 ① 相続税の申告書(法27) 「その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内に」相続税申告書を所轄税務署長に提出しなければならない。 ② 更正の請求の特則(法32) そこで、相続開始を基準点とする民法、相続税法の規定と相続開始等の「知った日」を基準点とする民法、相続税法の規定がそれぞれ存在しています。   民法、相続税法の「知った日」が基準点となる場合には、その「知った日」の具体的な事実が何を指すのかを客観的に判定することは難しい。なぜなら、例えば、被相続人が孤独死した場合に、相続人は通常、警察から連絡があったとしても通知だけで、仮に、遺体を見たとしても被相続人の確認ができないことがままあり、その後の司法解剖か死亡診断を待たなければ、被相続人の死亡が判定されませんし、また、正式な死亡も確認されません。相続人が、被相続人の死亡を知った日は、警察からの通知日なのか司法解剖の結果を聞いた日なのか死亡診断書を受け取った日なのか、相続の開始を知った日については複数日が存在しますので、どの日なのかを客観的に確定することは困難です。そこで、相続人本人が、相続の開始を知った日を、その相続開始の日となり得る複数の日から選択すれば良いのではないかと考えます。   また、「相続の開始があったことを知った日」について、「自己のために相続の開始があったことを知った日をいうのですが、次のケースに該当する場合には、そこで掲げられている日を「知った日」と取り扱うものとされています(相基通27-4)   ① 失踪宣告の審判の確定のあったことを知った日 ② 失踪宣告の取消審判の確定のあったことを知った日 ③ 認知の裁判、相続人廃除の取消裁判の確定を知った日 ④ 相続について既に生まれたものとみなされる胎児については、法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日 ⑤ 相続開始の事実を知ることのできる弁識能力のない幼児等については、その法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日 ⑥ 遺贈(被相続人から相続人に対する遺贈を除く。)によって財産を取得した者は、自己のために当該遺贈のあったことを知った日 ⑦ 停止条件付の遺贈によって財産を取得した者の場合は、当該条件が成就した日  

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