(吉野画伯 提供)
相続人が、相続放棄した場合には、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることが出来るまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない(民940条)。そのため、相続放棄をする前に、相続財産の全部または一部を処分したり(民921条1号)、あるいは、相続放棄後に相続財産の全部または一部を隠したり、私にこれを消費(民921条3号)した場合には、相続人が相続放棄ではなく、単純承認したものとみなされます。すなわち、財産の管理をするのではなく、財産を自分のものであるがごとく、処分や消費してしまうと相続放棄の効力が取り消されてしまいます。
ここで、特に、注意をしたいのは、被相続人の財産価値のない物を形見分けと称して、相続放棄した者がもらったり消費してしまった場合には、相続放棄の効力が失われて、相続を単純承認したものとみなされ、債権者から被相続人の債務について請求されかねないので注意を要します。