(吉野画伯 提供)
母が亡くなったので息子の私が相続します。相続税は分割して払うことはできるのでしょうか。
相続人が納付すべき相続税を納期限までに支払えない場合には、延納制度を利用することで、相続税の分割払いが出来ます。この延納制度を利用するには、納税者の申請と相続税を金銭で納付することが困難とする理由が必要です。延納の期間は、不動産に対応する相続税額は15年以内で、その他の財産に対応する相続税は10年以内の延納が認められます。
延納対象相続税額は次のように計算します。延納を受けたい相続人が納期限時に有する現金、預貯金、換価可能財産(上場有価証券、金等)の金額から、本人及び家族の通常の生活費の3月分、事業の運転資金等を控除した残額をその納付すべき相続税額から控除した残額の相続税が延納の対象となります。例えば、納付すべき相続税が2000万円で、相続した金融資産が1000万円、本人の預金が500万円、3ヶ月分の生活費が90万円とすると、延納対象の相続税は2000万-(1000万+500万-90万)=590万円です。相続した金融資産だけでなく本人の預金も相続税の納付に充てる必要があります。