質問:
相続税の調査の通知がありました。どのようなことが調査では行われるのでしょうか。
回答:
相続税調査(相続税税務調査)は、相続人の方に通知があった後に、被相続人が住んでいた住居で調査官が訪問して、行われるのが一般的です。調査では、調査官から、被相続人の趣味、職歴、生活状況、家族構成、家庭用財産の所有状況、預金の出し入れの状況などの質問を受けますが、その目的は、相続税申告書の申告財産が正しく申告されているかの確認のためのものです。これを臨宅調査といわれています。
臨宅調査は、一般的には、次のような手続きを通して行われます。
1.申告代理した税理士がいる場合には、訪問の予約を1ヶ月前~2・3週間前に日程調整が行われます。
2.臨宅調査の日程が整った後、税務調査の事前通知を税理士か納税者に対して行われます。
3.調査訪問宅の家の中の様子を確認し、絵画が外された後、カレンダー等や部屋の配置を概観します。
4.部屋の装飾品で、たとえば、ゴルフのトロフィーがあるのにゴルフ会員権の申告がなかったとか等の確認をします。
5.不動産の権利書や定期預金証書、保険契約書、通帳、印鑑等の大事なものの保管場所を相続人の立ち会いの下、保管庫等のすべての内容物を応接間等の調査場所で閲覧・質問検査がされます。相続財産でない手紙類や私物も含め、閲覧、確認等が行われます。
6.被相続人の遺品である財布や宝物等を確認することで、申告漏れ財産に結びつく情報をキャッチします。
7.応接間等での調査官からの質問は、事前調査で収集してきた申告漏れの疑いのある事項を中心に被相続人の生活状況を聞きながら行われます。そのため、質問の意図や主旨がわからないため、納税者側は、丁寧に、詳細に説明する傾向になりがちです。
8.最近は銀行取引や証券売買をインターネット経由で行っているケースがあり、そのパソコンを見せてほしい、検査の対象とするケースが増えてきました。被相続人の顔認証やPINコードがわからない場合でも、情報調査専門官を同行して、取引情報を調査します。
9.貸金庫の利用の有無を聞かれますが、すでに、利用している情報をつかんで質問します。貸金庫の利用日を調べた上で、最近の利用状況も聞かれます。
臨宅調査への対応はどのようにすればよいか
1.権利書、通帳、取引印鑑等の大事なものが、自宅の金庫や保管庫に保管されている場合には、調査の前に、すべて、応接間に、移動し用意しておくことで、私室に調査官を入れることが防げます。
2.貸金庫の内容物が調査されますので、前日に、ご自宅に、保管物のすべてを持って来て、調査当日に開示することで、貸金庫での現場税務調査を減らすことができます。
3.調査官は、雑談風に、かつ、ソフトに質問してきます。その質問は、相続財産を過小申告していることを疑って、質問の回答から脱漏の端緒をつかむためのものであります。質問への回答は、被相続人に関することに対しては、知っている事実のみ回答してください。ご夫婦の場合は、得てして、想像や推定で回答できる場合が多いと思われますが、事実のみを回答してください。
4.妻が、夫の通帳の管理の状況についても、事実のみ簡潔に回答することが大切です。
5.相続税調査は、財産の有り高の調査です。財産が相続開始時に存在がしていなければなりません。しかし、財産が存在していない場合には、財産の存在を推定して、課税処分することはできません。