農業相続等の特殊な相続税申告書ではなく、一般的な申告書の作成の順番及び書き方についてご説明致します。
Ⅰ.相続税の申告書の構成
(1) 第1表 「相続税申告書」は、被相続人東京太郎の純資産額(第1表④)に3年内の贈与加算額を加算した課税価格(第1表⑥)に対する相続税の総額(第1表⑦)を各相続人が課税財産の取得割合(あん分割合第1表⑧)を乗じた各人ごとの算出税額を算出します。各人の税額控除額等(第1表⑫~⑰、⑳、㉑、㉓)を控除した額が各人の申告納税額となります。この表は、被相続人及び各相続人等の課税純資産額に対する納付税額を計算するもので、全体の総括表として、位置づけられます。
(2) 第2表 「相続税の総額の計算書」では、第1表⑥Aの課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した課税遺産総額を法定相続人が法定相続分で相続したものとみなした各人の取得金額に対する相続税の総額の基となる税額を算出し、その合計額が相続税の総額として、第1表の⑦欄に転記します。
東京一郎氏の法定相続分は4分の1ですので、課税遺産総額③㋥ 271,227,000円×1/4=67,806,000(取得金額⑥)となります。法定相続分に応ずる取得金額67,806,000に相続税の速算表に当てはめると、100,000千円以下ですので、
67,806,000×30%-7,000千円=13,341,800円が相続税額となります。
(3) 第5表 「配偶者の税額軽減の計算書」の配偶者の税額軽減額ハは、相続税申告書第1表の⑬欄に転記します。この「配偶者の税額軽減の計算書」は、税額控除の内訳計算書です。
(4) 第9表 「生命保険金などの明細書」の課税金額は、第11表の「相続税がかかる財産の明細書」に記載します。
(5) 第11表 「相続税がかかる財産の明細書」の下欄の合計表の各人の③欄の金額を第1表の各相続人等の「取得財産の価額①」欄に転記します。
(6)第11・11の2表の付表1「小規模宅地等についての課税価格の計算明細」及び第11・11の2表の付表1(別表1)「小規模宅地等についての課税価格の計算明細(別表)」は、第11表「相続税がかかる財産の明細書」の宅地のうち、小規模宅地に該当する宅地について、課税価格に算入する価額⑧の金額を第11表の「財産の明細」の「価額」欄に転記します。
(7)第13表 「債務及び葬式費用の明細書」の「3 債務及び葬式費用の合計額」の各人の⑦欄の金額を第1表のその人の「債務及び葬式費用の金額③」欄に転記します。
(8)第15表 「相続財産の種類別価額表」は、第11表「相続税がかかる財産の明細書」のうち「財産の明細」の「価額」欄は、財産の細目、種類毎に小計及び計を付し、最後に合計を付して、それらの金額を第15表の①から㉘までの該当欄に転記します。
(9)相続税の申告書の構成のまとめとして、
1.第1表 「相続税申告書」の計算項目の内訳として、
第2表 「相続税の総額の計算書」
第5表 「配偶者の税額軽減の計算書」
第11表 「相続税がかかる財産の明細書」
第13表 「債務及び葬式費用の明細書」
からなっています。
2.第11表 「相続税がかかる財産の明細書」の計算項目の内訳として
第9表 「生命保険金などの明細書」
第11・11の2表の付表1「小規模宅地等についての課税価格の計算明細」及び第11・11の2表の付表1(別表1)「小規模宅地等についての課税価格の計算明細(別表)」
第15表 「相続財産の種類別価額表」
からなっております。