(吉野画伯 提供)
遺言書を隠してしまった相続人は
質問:
父は、自分が亡くなったときは、遺言に従い相続するように言っていました。この度父の相続が発生しましたが、父と同居している姉は父の遺言書の存在は聞いたこともないし、探してみたものの遺言書の存在は知らないというのみです。どうすれば良いでしょうか。
回答:
遺言書を隠した姉は、民法891条1項5号の定めで、遺言書を隠匿した相続人は相続人の欠格事由に該当し相続人となることはできません。また、姉に子がいるときは、姉が相続権を失いますので、その子が姉の代襲相続人として相続することになります(民887)。姉に子がいる場合には、他の相続人の相続分に影響しません。
ところで、遺言書の隠匿の行為とは、遺言書の発見を妨げる状態を作り出す行為を含みます。そのような行為があることが相続人の欠格事由に該当しますが、本人が遺言書の隠匿行為を否認し、さらに、遺言書が出てこなければ、姉を相続人から廃除して、相続を進めることはできません。遺言書が出てこなければ、相続人間で分割協議をすることとなります。